医師になれば高収入が保証され将来は安泰。こうした考えから医学部医学科は近年狭き門になっている。超難関の国公立大の合格者数トップ30をもとに、強い高校をまとめた。私立大を含めて分析すると、今年は女子や多浪生の合格が目立つ。不正入試が相次いで発覚し、これまで差別されていた人たちが正しく評価されたようだ。
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国公立大医学部医学科に合格するには、センター試験で9割ほどの得点が必要とされ、優秀な受験生同士の激戦となる。多くの合格者を出せば、高校にとって実績をアピールできる。
合格者数ランキングでは、名門進学校がずらりと並ぶ。すべての高校が、東大と京大にも合格者がいる。
トップは12年連続で東海。唯一3桁の合格者を出し、医学部志望者が集まる高校として知られる。特徴的な行事として、2002年から、生徒が主催する市民公開講座「サタデープログラム」を開催している。
「講座の企画や運営などは基本的に実行委員が行い、生徒の自主性を育てています。愛知県は医学部人気が高く、医師の子どもが多いことから、結果的に医学部志望が多い」(紺野一弘学習指導部長)
2位は灘。卒業生数が東海の半分ほどのため人数では及ばないが、生徒の優秀さは断トツ。最難関の東大理IIIに21人、京大医学部に26人が合格し、国公立大医学部と東大・京大の合格者(浪人も含む)を卒業生数で割った「占有率」は7割を超える。生徒の3人に2人ほどが、医学部か東大・京大に進むエリート校だ。
「今年は理系のほぼ半数が医学部志望。浪人しても東大や京大の医学部を目指す生徒が多かったのですが、数年前からは臨床医になるなら関西の国公立大医学部を志望する生徒も増えています」(和田孫博校長)
同校では、中2から高2を対象にした土曜講座を年6回実施。講師は同校の教員や卒業生が務める。
3位は洛南。06年に男女共学になり志望者が増えたという。
「志望者の約4割が女子。高2の夏は全員、高3の夏は希望者を対象に6泊7日の高野山合宿をします。高3の冬は自主学習トレーニング合宿とセンター練習会を行います。保護者会や面談、講習などが多く面倒見のいい学校だと思います」(渉外部の杉山浩之教諭)