

新元号決定で安倍政権の支持率が上がったそうだが、そもそも、新元号決定は安倍晋三総理が誇るべき業績なのだろうか?
4月1日、菅義偉官房長官が、緊張した面持ちで新元号「令和」を発表した。それから今日まで、テレビや新聞・ネットなどでは、「令和」フィーバーが続いている。誰でもお祭り騒ぎに水を差すのは気が引ける。みんなで祝って何が悪いと言われそうだ。だがしかし、それでもやっぱり、言っておきたいことがある。
このコラムは、次回から週刊朝日に移行することになり、発売日(原則毎週火曜日)には、このサイトにもアップされるので、紙とネット両方の媒体で読んでもらえる。それ自体はとても嬉しいことなのだが、紙媒体なので、字数に限りがある。逆に言えば、字数にあまりこだわらずに書けるのは、これが最後ということだ。というわけで、「令和フィーバー」について、言いたいことをそのまま書いてみたい。
まず、「新元号決定」と言うが、この新元号の最終決定者は誰なのかご存じだろうか。安倍総理だと思っている方もいるかもしれないが、それは違う。新元号の決め方は「元号法」という法律で、「元号は、政令で定める」と決められている。「政令」だから、閣議で決める。つまり、元号を決めたのは内閣であって、内閣総理大臣ではないのだ。
新元号を最初に国民に伝えたのは、菅官房長官だった。内閣の決定事項を内閣を代表して発表したということになる。菅長官は、元号決定の経緯について、「先ほど、閣議で元号を改める政令及び元号の読み方に関する内閣告示が閣議決定をされました」「元号に関する懇談会と衆議院及び参議院の議長及び副議長の御意見を伺い、全閣僚において協議の上、閣議において決定したものであります」と述べている。法律の規定通り「閣議」で決めたことを2回にわたり繰り返し明言しているのだ。「安倍総理」という言葉はどこにもない。
本来は、この発表でことは足りるはずである。ところが、その後、わざわざ、別の会見を開いて、安倍総理が、「令和」に込めた自分の思いを滔々と述べ立てた。まるで、自分が「令和」の発案者であるかのような言動だ。「平成」が決められたときは、小渕恵三官房長官が発表し、竹下登総理は談話を発表しただけで、会見は開かなかった。
今回は、総理が会見を開いたうえに、その会見の模様は、テレビや官邸ホームページだけでなく、インスタグラムやツイッターなどでも生配信するという念の入れようだった。何とか自分が目立とうという魂胆がありありと見て取れる。統一地方選にこれを利用しようという意図があることも明らかだ。典型的な政治利用である。