その日程だと、現時点で大きな選挙は予定されていないが、夏の参議院選挙が衆議院の総選挙との同日選にならなかった場合、秋の臨時国会中に解散総選挙が行われる可能性がかなりの確率で予想される。そうなれば、当然、この委員会主催の行事の日程が、総選挙の直前に(と言っても、それがわかるのは安倍総理だけなのだが)セットされるのではないか。そんなことまで考えてしまう。

 あるいは、自民党と日本維新の会が中心になって、秋の臨時国会で憲法改正をめぐる議論を強硬に進める最中に、こうした催しが開かれるのか。
考え過ぎだと思うのだが、そんなことまで考えてしまう。

■トランプ大統領のご機嫌取りに天皇陛下を利用する安倍総理

 安倍総理は、新天皇陛下の御即位後最初の国賓としてトランプ大統領を招待した。トランプ大統領といえば、はっきり言って、世界でも最も品位に欠けたリーダーの一人だろう。なぜそんなことをするかと言うと、日米通商交渉で手加減してもらうためだ。7月の参議院選前にトランプ大統領から強硬な要求を突き付けられたら選挙に影響する。だから、それを回避するために、天皇陛下を利用して、トランプ大統領のご機嫌を取ろうという魂胆なのだ。

 そんな理由で招かれていることを天皇陛下はよくご存じだろう。国民のためを思えば、トランプ大統領の機嫌を損ねてはいけないとお気遣いになるのではないか。そんなことをお考えになりながら、天皇陛下がトランプ大統領と笑顔で握手をされるなどということを想像しただけでも、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。安倍総理に言いたい。いい加減、天皇陛下の政治利用はやめていただきたい。(文/古賀茂明

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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