持田香織のソロデビュー10周年記念ミニアルバム『てんとてん』は、今の生身の持田がそのまま音楽になった作品だ。ELT(Every Little Thing)のライヴでハイテンションで歌い客席を煽る姿からはイメージしづらい、少女の心を持ち続ける持田の音楽を楽しめる。
「今作は4枚目のソロアルバムです。7年前に3枚目をリリースしてからしばらくは、ELTをがっつりやっていました。ELTの20周年ツアーを終え、その間に結婚もしたので、今度は自分のペースで歌いたいと思ったんです。ELTのライヴは意識的に自分のギアを上げなくてはやれません。ファンの皆さんは新しい曲だけではなく、五十嵐さん(五十嵐充)が在籍していた、私が20代だった時期のヒット曲も聴きたいですよね。そういう思いにはお応えしたい。でも、ELTとは別に自然体の音楽が私には必要だな、と。それが今回のソロ活動につながっています。ギターの一朗さん(伊藤一朗)も、ELTだけでなく、テレビのバラエティ番組に出演するようになっていますし」
ソロデビュー10年も迎え、「てんとてん」をレコーディングすることになった。
「2018年に鶯谷の東京キネマ倶楽部という雰囲気のある小さなホールが確保できて歌ったとき、ソロ10周年ですね、と教えられていたんですよ。私自身はすっかり忘れていて、10周年だったらアルバムをやろう、と思いつきました」
アルバムは全5曲。うち3曲の歌詞を持田自身が書いている。曲は3人組の音楽ユニット、LITTLE CREATURESの鈴木正人が書いた。
「演奏もLITTLE CREATURESお願いしました。よくライヴも観させていただいている大好きなバンドです。せーの! でライヴみたいに演奏も歌も一緒にやった曲もあり、とても楽しいレコーディングでした。メンバーに背中をそっと押してもらって声を出している気持ちよさがありました」