昨年5月からベンチを外れ、いくら練習していても、試合の中で試行錯誤することはできない。それでも変わらぬ日々を送った精神力は誰もまねはできないよ。その技術や野球観は日本の野球界に還元してもらいたい。世界のトップに上り詰めた成功体験を伝えること。いずれイチローを超える才能がイチローを理解できた時、またスーパースターが誕生するだろう。
そして、もう一つ。悲しいニュースがあった。横浜(現DeNA)やロッテの監督を務めた近藤昭仁さんが死去した。私の現役時代の西武のコーチも務めていたし、監督時代にも対戦した。ロッテ監督の時には私も西武の監督だった。ひと言で言えば、厳しさを使い分けられる人だった。チーム状況に応じて、選手のレベルに応じて、厳しさの度合いを変えていたように思う。近年はゴルフ場でもお会いできず心配していた。
新元号となる2019年。時代の変化はどの世界にもある。今年プロ野球の世界に飛び込んだルーキーも、数多く開幕1軍のメンバー入りを果たした。過去と未来をどう結びつけていくか。野球一つとっても、いろいろと考えさせられる。
※週刊朝日 2019年4月12日号