■お金の悩み、どう解決、仕事と両立支援制度も
介護サービス利用時の自己負担は原則1割。昨年8月から、年金を含む所得が280万円以上の人は2割、340万円以上だと3割に引き上げられた。同じ月に使ったサービスの利用者負担の合計が限度額を超えると、超過分が高額介護サービス費として戻る。
「自己負担が2~3割の方が、特養や老健に入ろうとすると、月20万円以上かかることがあります。ホームヘルプサービスを利用し、毎月の介護費用を高額介護サービス費で低く抑えられれば、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型老人ホームのほうが安くなる場合もあります」(壷内さん)
筆者は母(85)の介護が始まった11年前、介護にお金を使いすぎて貯金が底をつきそうになった。
そんなとき知ったのが、同居しつつも住民票の世帯を分ける世帯分離。同じ住所で世帯主が2人になる。役所の窓口に住民票の異動届を提出し、健康保険課や介護保険課で保険証の再発行手続きをする。私が申請したときは、親子間の世帯分離について理由を窓口で聞かれることはなかった。
当時、母は私の扶養家族で、私の収入と母の年金が世帯所得として合算され、介護保険料が計算された。世帯分離で母は住民税非課税世帯になり、介護保険料が年5万円ほど減った。
また、特養(特別養護老人ホーム)のショートステイでの施設サービス(ユニット型個室利用)は、負担限度額が定められており、1日の食費が1380円から390円に、居住費が1970円から820円に減った。その後、母はケアハウスに移り住んで特養に入らなかったが、仮に特養に入ったとすると毎月の居住費と食費の負担は10万500円から3万6300円に減ることになる。
親子ではなく、夫婦の世帯分離はハードルが高い。15年から、世帯全員が住民税非課税でも預貯金が単身1千万円、夫婦2千万円を超えると負担限度額の認定を受けられなくなった。世帯分離は、負担能力を世帯収入でみることに着目した“裏技”的な方法だが、認定要件に注意したい。
親が遠方に住む遠距離介護の場合、ご近所さんが頼りになる。
「地方では地元での行事が大切にされます。そのタイミングで帰省し、民生委員さんや地区の青年会の人にあいさつする方もいます。見守りをしてくれたり、家のなかで倒れたときに代わりに救急車を呼んでくれたりするので、介護が必要になってからは実家のご近所さんと顔なじみになると安心できます」(同)