協会が第三者委員会に選出したメンバーには、塚原夫妻が指導する体操クラブの親会社が株主になっている会社の顧問弁護士もいた(第三者委員会発足直後に顧問弁護士を辞任)。

「第三者委員会は、本来、その団体の上層部が対応するべきところを、その人が訴えられてしまったために、代わりに判断をする機関です。上層部に肩入れするかもしれないという疑義が少しでも生じる人が選ばれては、元も子もありません」(佐渡島弁護士)

 調査にあたり「職場とスポーツの現場は違う」というスタンスをとった日本体操協会。

 スポーツジャーナリストの田中圭太郎さんは、こう疑問を呈する。

「本来、パワハラは、加害者が何を言ったかより、被害者が言われてどう感じたかが問題。にもかかわらず、こんな形で幕引きとなると、選手ファーストであるべき協会が、上層部にいる人間を組織で守ったようにしか見えません。会見を開いてまで被害を訴えていた宮川選手がこれ以上排除されないと良いのですが……」

(本誌・工藤早春)

※週刊朝日2019年3月29日号