なお、装置は従来のものに比べ、使いやすい点も特徴だ。

「従来タイプは使い方を身につけていただくまでに入院で10日~2週間ほどかかっていました。今回、登場した新しい装置は小型で使いやすいタッチパネル式で、音声ガイダンスや動画による説明機能も付いており、スマホなどを使っている人なら2、3日でマスターできます」(同)

 透析液のセッティングを近くの家族や介護スタッフに頼むことができれば、一人暮らしでも装置の導入は可能だ。

 興味のある人は詳しい内容を主治医や医療スタッフに聞いてみるといいだろう。

大腸がん/AIによる内視鏡診断支援

 大腸がんは早期で治療できれば、ほぼ百パーセント治るがんとも言われ、早期の段階で発見するためには検診が不可欠だ。そして検診では、がんであるか、前がん病変である腫瘍性ポリープか、切除する必要のない非腫瘍性ポリープかを的確に判別する必要がある。熟練の専門医で、診断時間は10~15秒かかる。

 そんな検診において正確な診断をサポートするシステムが18年12月、医療機器として承認された。「AI(人工知能)を搭載した内視鏡診断支援プログラム」だ。

「私たちが診断した内視鏡所見を教えた画像データをAIで解析することにより、腫瘍か非腫瘍かを0・4秒で推測して診断を提示できる『EndoBRAIN』というソフトを開発しました。病理検査の顕微鏡と同じレベルの画像を描出できる520倍の超拡大内視鏡により撮影した病変画像から診断することができます」

 そう説明するのは、同プログラムの開発を主導してきた昭和大学の工藤進英医師だ。工藤医師らは、13年から研究・開発に着手し、現在、国立がん研究センター中央病院をはじめとする5施設で蓄積した約10万枚の画像データをAIに学習させている。その精度は内視鏡専門医の診断に匹敵し、腫瘍性ポリープか非腫瘍性ポリープかを98%の精度で判別できたという。

 今後、工藤医師らが目指すのは、AIを使用した検査の保険収載(保険適用+価格の決定)だ。

「検査が保険収載となれば全国の病院に速やかに普及します。そうなれば、多くの医師の内視鏡診断を支援することができ、診断精度は向上するでしょう」(工藤医師)

 このシステムにより早期の大腸がんや前がん状態のポリープを見つけて治療できれば、大腸がんによる死亡数の減少へ大きく貢献するだろう。

◯日本大学板橋病院腎臓・高血圧・内分泌内科教授
阿部雅紀医師

◯昭和大学横浜市北部病院消化器センター長・教授
工藤進英医師

(取材・文/伊波達也、狩生聖子)

※週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院2019」から

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