2段階選抜を導入した名古屋市立大、個別試験の面接を点数化した山形大、募集人員が減った大阪市立大も志願者が減少した。
2段階選抜を導入したり、第1段階選抜の倍率を変更したりする大学が毎年増えているのは、面接する人数を絞り、医師としての資質をしっかりと確認する狙いがある。
秋田大と岐阜大は3年連続で増加した反動で、金沢大、鳥取大、高知大などは「隔年現象」でそれぞれ減少した。
ただし、成績トップ層の生徒のハイレベルな入試の構図は変わらない。受験生の親が医学部受験をしていたころと比べ、私立大医学部の学費が下がったこともあり、地方の国公立大より、自宅から通える私立大を選択するケースも増えている。
一方、私立大医学部はどうか。2月6日時点の志願状況を見てみよう。私立大は何校も受験できるため、試験日の重複が志願者の増減に影響する。今年は昨年よりもセンター試験が約1週間遅かった影響で、1月27日から2月2日までほぼ毎日、複数の大学の1次試験があった。
医系専門予備校メディカルラボ本部教務統括の可児良友さんは、私立大は科目数や定員、試験会場の増減、学費の値下げなども志願者動向に影響する、と指摘する。
今年はこれらの要因に加え、「不適切入試」の影響が大きい。文部科学省から指摘を受けた10大学のうち、東京医科大、岩手医科大、順天堂大は2月5日時点で志願者数を公表していないが、東京医科大は大幅に減らしたようだ。
「東京医科大は、試験会場が2カ所から1カ所となり、志願者数は昨年の半分以下です。追加合格により、一般入試の定員が75人から34人になったことも敬遠された要因です」(可児さん)
また、聖マリアンナ医科大も志願者数が前年比約4割減となった。
「昨年は単独日程だったのに、今年は3大学と1次試験日が重なった影響も大きいと思います」(同)
試験日の重複により、多くの大学が志願者を減らすなか、センター試験の2日後に入試を行った国際医療福祉大と愛知医科大、2大学同一日から単独日程になった東京女子医科大、3大学同一日から単独日程になった獨協医科大は志願者が大きく増えた。
「私大で一番学費が安い国際医療福祉大は国公立大志願者の併願先として、標準レベルの問題を出す愛知医科大は私大専願者が最初に受ける大学として人気を集めました」(同)
国際医療福祉大の志願者増の理由として、石原さんは医学部特待奨学生枠の大幅拡充を挙げる。
「昨年は一般入試の成績上位30人でしたが、今年は一般入試の上位40人、センター利用方式の上位5人の計45人になりました。1年次から英語で基礎医学を学ぶなどの国際的な教育も評価されたのだと思います」
東京女子医科大の増加について、「女子差別がない医学部を受けようと考えた女子受験生も多いと思います」(石原さん)。
今年こそ公正な入試になる。全力を出し切って頑張ろう。合格をお祈りします。(庄村敦子)
※週刊朝日 2019年2月22日号