昨夏に発覚した東京医科大不正入試で注目を集めた医学部入試。国公立大の志願者数をみると、前期は微減だが後期は増えた。一方、私立大は志願者の増減が明暗を分けた。最難関学部の志願状況を分析する。
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出願締切日時点の国公立大の志願者数を昨年と比較したところ、前期の志願者数は対前年比97と微減だが、後期は同111と増加している。この動向について駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは、
「例年、後期は安全校に出願する生徒が多いが、センター試験の英語と国語は前年よりも易しく、点数が取れていることで強気に出願したのだと思います」
と語る。
国公立大の志願者数の増減に大きく影響する要因として、センター試験の難易度、試験の科目数や配点の変更、入学定員の増減、2段階選抜の導入、第1段階選抜の倍率変更、前年の志願者数などがある。
このなかで、前年の志願者が減った大学は反動で翌年増え、増えた大学は翌年減る「隔年現象」は医学部で多く見られ、徳島大のように、毎年増減を繰り返している大学もある。
2月7日時点の国公立大医学部医学科の前期試験の志願状況はどうか。志願者が増加した大学から見ていこう。
「新潟大は2次試験の英語、数学、理科2科目の配点が各150点から各400点と、2次試験重視になりました。センター試験の結果が芳しくなかった受験生の出願が増えたのだと考えられます」(石原さん)
浜松医科大もセンター試験の配点と、2次試験の面接点を変更した。
「面接点が150点から100点と減ったこと、前年減少の反動から増えたのだと思います」(同)
センター試験の理科が生物必須から選択に変更になった九州大も志願者が増加した。前述の「隔年現象」で増加したとみられる大学は、群馬大、徳島大、愛媛大、福島県立医科大、和歌山県立医科大などだ。
続いて、志願者が減少した大学を見てみよう。
「東大理IIIは、第1段階選抜の倍率が約4倍から約3.5倍となり、門前払いを敬遠して志願者が減りました。筑波大も第1段階選抜の倍率が約5倍から約2.5倍と厳しくなったうえ、募集人員が63人から58人に減ったため、志願者が減少しました」(同)