Q4 家族が口腔ケアを行うときの本人の姿勢や体位について教えてください。特に、寝たきりの場合は寝たまま行ってもよいのでしょうか?
A 座ることができる方は座った姿勢で行います。寝たきりの方は、水平位では唾液等が気管に入り誤嚥する可能性があるので、なるべくベッドを起こしましょう。ファーラー位(上半身を40~60度)は対象者にとって疲労しにくく、セミファーラー位(上半身を15~30度)は上半身をほとんど起こせない方におすすめです。麻痺がある場合は麻痺側を上にし、麻痺のない健側を下にするのも有用です。必要に応じて側臥位(そくがい)で行いましょう。
いずれの姿勢においても、誤嚥を防ぐため、クッション等を置いて体幹が傾かないように支えてください。また体位だけでなく、頭位にも注意が必要です。リクライニング時は、特に頚部が伸びてあごが上がり、誤嚥しやすくなるため、やや頚部前屈した状態が適切です。口腔ケア時にも、あごが上がらないように、同じ目線で行うなど注意しましょう。
Q 要介護の高齢者には、状態に応じてどのような口腔ケア用品があるのか教えてください。また、何日くらい使い続けてよいのですか?
A 歯全体の汚れを落とすには、歯ブラシを使用しましょう。奥歯や孤立歯など磨きにくい場所には一本ブラシ(ワンタフトブラシ)や歯間ブラシなどの使用をおすすめします。また、健常者に比べ、口腔機能が低下しているため、粘膜に汚れがたまりやすくなります。頬粘膜や上あごなどは粘膜用歯ブラシやスポンジブラシを用いて清掃しましょう。
口腔内が乾燥している場合には、そのまま口腔ケアを行うと痛みが出やすいので、水で湿らせたり、保湿剤(液、ジェル)や保湿スプレーなどの使用もおすすめです。口唇の乾燥にはワセリンやリップクリームを使用してください。
要介護高齢者の場合、うがいができない方も多いのですが、せっかく落とした汚れは口の外に吐き出さないと意味がありません。うがいができない人は、丁寧に汚れを拭き取ってください。口腔ケアティッシュという拭き取りシートには保湿成分が含まれている製品もあるので、それらを使用するのが便利です。
口腔ケアは毎日行うものですから、「ケアを行う人が楽にできるかどうか」を第一に考えて、たくさんの種類を使用するよりも、本当に必要なものを使って、効果的・効率的に行うことが大切です。
なお、スポンジブラシは使い捨てですが、それ以外のものも1カ月を目途に交換しましょう。歯ブラシは、毛先が広がると口の中を傷つけてしまうので、裏側から見て毛先が開いてきたら交換しましょう。