デビュー以来、一貫して「愛」をテーマに曲をつくってきたChara
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Charaの新作『Baby Bump』(ユニバーサル UMCK-1614)。初回限定盤はCD2枚組だ
Charaの新作『Baby Bump』(ユニバーサル UMCK-1614)。初回限定盤はCD2枚組だ

 アフロ・ヘアに真っ赤なルージュ。見る者をジロリとにらみつけるCharaの新作『Baby Bump』のカヴァー写真に思わずドキリ! 今年でデビュー28年、51歳。ハスキーなウィスパー・ヴォイスによる切ないバラード・アルバムかと思いきや、ダンス・ミュージックが満載。予想を見事に裏切られた。

【Charaの新作『Baby Bump』ジャケットはこちら】

 CharaのルーツはR&B/ソウル、ファンク・ミュージック。ダンス・ミュージックは原点回帰とも言える。過去の作品やライヴに参加してきたヒップホップ・バンドの韻シストのTAKU、プロデューサーでマルチ・プレーヤーのmabanuaらをゲストに迎えて共演。かつてのディスコ・シーン、その後のクラブ・ミュージックへの変遷を知る彼女の、冷静で周到な視線もうかがえる。

 Charaは高校時代にアマチュア・バンドでキーボードを手伝い、失恋をきっかけに初めて曲を書き、歌い始めたという。バイトをしながらバンド活動を続けるうち、デモ・テープが認められて1991年にシングル「Heaven」でデビュー。翌年に出したセカンド・アルバム『SOUL KISS』が日本レコード大賞ポップス・ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞に選ばれた。

 当初はJ―POP寄りのスタイルだったが、4作目『Happy Toy』から独自性を強めた。岩井俊二監督の映画『PiCNiC』(96年公開)に出演。ここで共演した浅野忠信と結婚する(その後、2児を得て離婚)。同じく岩井監督の『スワロウテイル』(同年公開)では主演し、YEN TOWN BAND名義の劇中歌「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」がオリコンのシングルチャート1位に。日本アカデミー賞優秀主演女優賞も受賞した。

 翌97年には、ソロ名義の「やさしい気持ち」を含むアルバム『Junior Sweet』がミリオンセラーを記録。オリコン1位となり、幅広く注目される存在となった。

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