岩合:わかります、わかります。この人はくみしやすいというのが、ネコはすぐわかります。

林:写真を撮るときは、ポケットにちょっとおやつを忍ばせたりするんですか。

岩合:最初にやってしまうと、食べ物のことしか考えなくなって、目つきが違ってくるので、最初には与えないですね。終わったところで「ギャラだよ、ありがとう」と言って与えます(笑)。撮影していて、連れて帰りたいなと心奪われるネコがたくさんいるので、そのときは陰でエサをやって、食べてるうちに「じゃあね。達者でね」と言ってそっと消えるんです。後ろ髪を引かれる思いで……。

林:一期一会ですね。いちばん心ひかれたネコちゃんは、どこの国のどんなネコですか。

岩合:うーん、難しいですね。でも2年ぶりに会ったネコが、覚えていてくれたということを何となく感じたりするときがあって、そういうネコにはほんとに心揺さぶられます。

(構成/本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2018年12月28日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?