林:日本人が岩合さんの写真が好きなのは、どのネコも幸せそうだからですよね。BSの「世界ネコ歩き」の中で青森のリンゴ畑で生きてるネコちゃんが出てきますけど、私なんか「寒くなると大変だろうな」と思ったんです。でも、「寄ってきてくれて、人なつこくて幸せそうだった」というナレーションがつくと、ほっと安心します。
岩合:野生動物なんかも、「こんな厳しいところで暮らしていて大変だな」と思いますけど、それはあくまで人間が考えた厳しさですからね。
林:岩合さんが「よくやってくれた。いい子だね」ってネコに話しかけるでしょう。世界中どこの国のネコも「よっしゃ、協力してやるわ」ってなるのは、やっぱり年季がなせる技なんでしょうね。
岩合:ネコって言葉の響きがわかるんですね。やさしい声かけをすると、それ相応の顔をしてくれるんです。最初はその国の言葉で話しかけるんですけど、あとは日本語のほうが感情が伝えられると思っています。あっ、以前、ロンドンのネコにアメリカ英語で話しかけたら、バカにされたことがありました(笑)。
林:えっ、本当ですか?
岩合:ニューヨークからロンドンに飛んだので、ついアメリカ英語で「グッモーニン」と言ったら、フンという顔をされたんです。ああそうか、ロンドンのネコだからイギリス英語じゃなきゃダメかと思って、「グッド・モーニング」と言ったら、パッと振り向きましたよ(笑)。
林:へぇー。アメリカ英語とイギリス英語を使い分けるというのもすごいけど(笑)。それはどんなネコだったんですか。
岩合:お屋敷のネコでしたね。
林:「マザー・グース」に出てきそうなネコだったんでしょうね。パリのネコはどんな感じですか。
岩合:気取ってる(笑)。
林:私、よくスーパーの帰りにノラネコに呼び止められるんです。「ちょっとあんた、なんか置いていきなさいよ」って感じで(笑)。だからウィンナーをあげたりするんですけど、ネコ好きの人ってわかるんですかね。