それ以上に大切なのは、若手外野手があきらめないことだ。開幕時に名を連ねなくとも、シーズン中には絶対にチャンスは来る。今の野球に9人野球はない。すぐにとって代われるように、常にモチベーションを維持し、技術を磨く。そうでないと、ずっと使われなくなってしまう。

 捕手も炭谷銀仁朗を西武から補強したが、同様だ。小林誠司と炭谷との争いに、捕手復帰の阿部慎之助が第3捕手の扱いとなることが予想される。捕手をやるという阿部がベンチにいれば、試合を締めくくるクローザー捕手としてや、代打投入と幅広い起用が可能になる。ただ、大城卓三や宇佐見真吾ら若い選手は、小林や炭谷を追い抜いてもらいたい。

 ただ、3連覇している広島とこれでようやく五分かな。広島は今年、投手陣が大瀬良大地以外はパッとしなくても、独走で勝った。試合の勝負どころで一気に畳みかける集中力はすごみがあり、選手が自分の特長をどう発揮すればチームの勝利に貢献できるかを知っている。丸を失って、選手が自分の役割を見失わない限りは、来年も間違いなく優勝争いできる。

 パ・リーグは日本一となったソフトバンクの力が抜けているように思う。他の5球団が束になってかからないといけない。シーズン終了から1カ月。選手も徐々に来季へスイッチを入れないといけない。

週刊朝日  2018年12月21日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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