何を食べるかだけでなく、いつどのように食べるとよいか。そんな時間栄養学の研究も進む。17年のノーベル医学生理学賞が体内時計のしくみの研究に贈られるなど話題を集めている。
時間栄養学の研究によると、体内時計のリズムは1日24.5時間で、24時間とわずかなずれがある。朝ごはんが大事と長年言われるが、朝食を食べると体内の時計遺伝子が発現し、0.5時間のずれをリセットする効果があるという。
早稲田大学先進理工学研究科の柴田重信教授は「朝食を抜くと体内時計がずれていき、『時差ボケ』を起こします。深夜に食事して朝食を抜く生活が続けば、体内時計が後ろにずれていき、肥満や糖尿病などにもつながります」と話す。
朝食は、パンやごはんなど炭水化物だけでなく、魚などのたんぱく質も加えると効果的。そんな研究結果もある。イワシやマグロなどの魚油は特に時計遺伝子をよく動かし、体内時計をリセットしやすいと考えられるという。ごはんと焼き魚、ツナサンドと牛乳などは理想的な朝食となる。
塩分をとる際は、朝昼より夕方以降のほうが体内に蓄積されず、尿として排出されやすいとの研究もある。
「女子大生が被験者となり、同じみそ汁を朝昼夜それぞれに飲んだ際の尿の塩分を調べた実験があります。一番濃い時間帯は、夜だったのです」(柴田教授)
体内に入ったナトリウムは、余分な量が腎臓の働きで尿として出る。こうしたナトリウムの吸収や排出機能も、1日のリズムがあると考えられる。とはいえ、夜は塩辛いものをたくさん食べてもOKというわけではないので、念のため。
食事摂取基準によると、食塩の1日の目標量は男性8グラム未満、女性7グラム未満。現実は男性10.8グラム、女性9.1グラムと高い(17年国民健康・栄養調査)。日本高血圧学会は1日6グラム未満を推奨し、世界保健機関(WHO)の目標は1日5グラム。「かるしお」「すこしお」など様々な減塩運動が叫ばれるが、なかなか減らない。