若い母親が外出時に日焼け止めをつける際、赤ちゃんにも一緒に塗ることがある。こうした行動が乳幼児のビタミンD合成の妨げとなる恐れにも気をつけたい。
骨の丈夫さを示す骨量は幼児から思春期に急速に高まり、20代から横ばい。40~50代以降に落ちるが、女性は閉経期から急速に減る。
女子栄養大学の上西一弘教授(栄養生理学)は「骨粗鬆症を防ぐには、成長期に最大骨量を高めておき、高齢期や女性の閉経期はできるだけ減少を抑えたい。バランスよい食事に加え、骨の材料となるカルシウムやビタミンDを十分に摂取し、運動して骨に刺激を与えることが重要」と話す。
カルシウムの1日の摂取推奨量(50歳以上)は、男性700ミリグラム、女性650ミリグラム。2017年の国民健康・栄養調査によると、男女ともに未達だ。日本人の摂取量は1970年ごろと同水準にとどまる。
最近の研究では、牛乳を週1回以下しかとらない人のように、カルシウム摂取が極端に低いと大腿骨頸部骨折のリスクを上げる可能性が高いこともわかった。
上西教授は「骨折リスクだけでなく、認知症発症にも牛乳・乳製品の摂取が関係するという研究結果があります。たくさん牛乳を飲む人のほうが、認知症の発症率は少ない。高齢者にとって、牛乳は骨の健康に重要なうえ、認知症予防の効果も期待されています」と話す。
骨の健康を巡っては、旬を迎えたみかんも話題だ。
β‐クリプトキサンチンという色素成分が、骨量低下を防ぐ可能性が示されている。静岡県浜松市三ケ日(みっかび)の住民約700人が対象の疫学調査によると、みかんをよく食べてこの成分の血中濃度が高い閉経後女性は、骨密度が高かったという。
JAみっかびは地元産みかんを、「骨の健康に役立つ」との機能性表示食品として消費者庁に届け出ている。たくさん食べればよいというわけではなく、1日3個までが目安になる。
また、フレイル予防の点から不可欠なのが十分なたんぱく質摂取。体重1キログラムにつき1日1グラムが目安で、60キログラムだと60グラムになる。高齢者は心持ち多めを心がけたい。