大雪で封鎖されたレインボーブリッジ(c)朝日新聞社
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 いよいよ冬本番。この冬から雪の多い地域の峠など一部区間の道路で、チェーン規制が導入される。大雪警報などの際に安全対策としてチェーンの装着をドライバーに義務付けるものだが、一般ドライバーの間で波紋を呼んでいる。

 従来のチェーン装着指導は「お願い」にとどまり、「チェーン装着車以外通行止」の例外的な表示でなければスタッドレスタイヤでも大丈夫だった。新たな規制ではチェーンが必須となり、国土交通省は一部での導入を手始めに適用区間を順次拡大していく方針だ。国交省の担当者は「積雪の多いところを念頭にしている」と話し、「道路法で罰則を設ける形になる」という。

 新たな規制は昨今の記録的降雪を受けたもの。車両の立ち往生が数日間に及ぶ事態も発生し、対策が迫られていた。例えば、今年1月22日には東京都心で積雪が20センチを超え、首都高速道路で約7割が通行止めとなり、通行再開に最大4日を要した。また、北陸地方では2016年1月、24時間で75センチ積もる大雪が発生。北陸自動車道は最大で約38時間の通行止めとなり、並行する国道8号で車両が立ち往生し、解消に約2日を要した。

 規制をかけるのは警報級の大雪で、縦断勾配5%以上の道路であり、過去に立ち往生が発生している区間を想定。過去の例を踏まえれば、今回の規制は妥当なものにも思えるが、一般の良識あるドライバーからは「冗談じゃない」という声が上がっている。

 というのは、実は立ち往生の原因の多くが、普通乗用車ではなく、大型車。冬用タイヤを装着していたが、チェーンを装着していない車がほとんどだったという。

 さらに、規制は雪道でのスムーズな交通を目指したものだが、逆に渋滞を招きかねないという。走行中にチェーン規制を確認すると、車を止めて装着する必要がある。さらに、例えば群馬県みなかみ町と新潟県湯沢町の10キロ超を結ぶ関越トンネルのように、長いトンネルに入る際には金属チェーンであれば外して走行しなければならない。着けたり、外したり、そのたびに車を止めて大変な作業となり、「大渋滞になって困る」というのだ。

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事故を起こすのは無謀な運転をするドライバー