――女優として培った表現力に加え、今シーズンはジャンプでも高い評価を受けています。
お芝居をやらせていただいているからには、そこで身に着けた表現力をスケートでも生かしたいと思ってきたのですが、それに頼りすぎてしまい、ジャンプの点数はなかなか伸びませんでした。それではいけないと思ってきたので、結果がついてきたことはすごくうれしいです。
――この1年で身長が7センチ伸びて158センチになったと聞きましたが、その影響はありましたか?
身長が伸びるとジャンプが安定しなくなると言われていますが、私の場合は安定した、すごくいいジャンプが跳べるようになりました。演技も大きく見せられるようになりましたし、「本当によかった」とコーチと話しているんです。以前の身長のままだったら、今の成績は出せなかったと思います。
――一つ階段を上がったという実感は?
あります。一段も二段も上がれたと思っています。とくに精神的な面ですごく成長できたと思っていて、自分の気持ちをコントロールするのがうまくなりました。人生ってうれしいことだけ続くなんてことはなくて、必ず悲しいことや悔しいことが起きる。だから私はうれしいことがあったとき、不安になるんです。試合の結果がよかったときもそうですし、日常生活で誰かと遊んで楽しかったとか小さなことも含め、毎日が幸せだと「何か起こるんじゃないか」と。だからうれしいときは自分に集中して、余計なことを考えずに真面目に生活をしようと心がけています。
――逆に落ち込んだときや、悔しいときは?
「頑張れば絶対にうれしいことがある」と思って乗り越えられます。ただ、よく「失敗は成長につながる」って言うじゃないですか。でも成長につながっても、その失敗自体は消えないんです。だからこそ一つひとつの試合や練習で悔いがないようにしたいと思います。
――他の選手以上に注目されることが多いですが、それがプレッシャーになることは?
ないです。ここ5年くらいは、試合でも練習でも、気にしようと思ってもできないくらい集中できているときがほとんどです。私の場合、周囲の目や応援を意識したら、その試合はダメですね。小さい頃から人前で何かすることが好きでしたし、女優の私を見てスケートも応援してくださる方が多いと思うので、ありがたいなと思っています。