久賀谷さんによると、マインドフルネスがダイエットに有効だとする研究は、アメリカなどを中心に相次いで報告されている。それらをまとめると、研究の86%が「食行動の改善を示している」という結果となった。「成功率の高いダイエット法」というわけだ。
例えば、空腹状態の学生100人以上にチョコレートクッキーを渡して、食べるかどうかの行動を調べた研究がある。それによると、事前にマインドフルネスをやったグループは、やらなかったグループに比べて食べる量が少なかった。
「この結果をカロリーで比較したところ、60倍もの差が出ました。マインドフル・ダイエットでは、肥満につながる食べすぎ行動だけ取り除いて、楽しんで食事をするという部分はしっかり残します。食べることをガマンしなくてもよいのです」(同)
では、久賀谷さんへの取材と著書をもとに、「太らない脳」を作る科学的メソッドを見ていこう。
同ダイエット法は、フェーズ(段階)を三つに分けて、その対策を紹介している。まずはその解説から。
「フェーズ(1)の中心は『食事改善』で、自分の食べ方のクセ(習慣や依存性)に気付いて、望ましい食べ方に変えていきます。フェーズ(2)では、食べたい欲求が押し寄せてきたときにどう対応するのかを考え行動する『欲求管理』を行っていきます」(同)
フェーズ(3)「自己充足」は仕上げの段階だ。食べすぎの原因となる心の空洞を満たす方法を身につけて、リバウンドを防ぐ。
マインドフル・ダイエットでは食べ方という根幹を変えていくため、1週間といった短期間では結果は出にくい。人によって異なるが、フェーズ(3)を習得して太らない脳に変えるまで、数週間~1カ月ほどかかるそうだ。(本誌・山内リカ)
※週刊朝日2018年11月30日号