写真はイメージです (c)朝日新聞社
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 色あせた結婚生活を送っていれば、「離婚」という文字が頭に浮かぶのではないだろうか。しかし、別れを回避する女たちがいる。同居せずに生活費を要求し、不倫合コンで憂さ晴らし……。その根底を探った。まずは夫の浮気を許して離婚しない「従来型」の妻の場合から。

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 夫の浮気相手として最近多いのが、スポーツジムのパーソナルトレーナーだそうだ。

 5歳の息子がいる専業主婦・矢島奈麻美さん(仮名・38歳)は、4歳年上の夫が頻繁にパーソナルトレーナーのいるジムに通うようになったのが気になっていた。週1回から週2回に増え、次第に週3回、4回、あげくの果てには土日まで出かけるように。とうとう探偵を雇って調査を依頼した結果、夫がパーソナルトレーナーのマンションに足しげく通っていることを突き止めた。

「ショックでした。友人から『離婚するか、しないか、どちらかを決めて。道はそこから開けるわ』と励まされ、離婚しないことを決めました。まだ小さい子供のために、夫の浮気をやめさせることにしました」

 まず、騒ぎを大きくしない作戦に出た矢島さん。かつて自身の父親が浮気したことを母親がなじって、夫婦げんかがヒートアップすると、矢島さんら子供までを巻き込み、関係修復に時間がかかったことを教訓にしたのだ。

「『週末は子供がいるから、ジム通いはやめてね』というお願いから始まり、『お金もかかるから週1回にして』と、回数を減らすように仕向けました。さらに男性のパーソナルトレーナーを探して紹介したり、複数のスタッフがいるジムに替えたりすることを勧めましたが、夫には断られました。夫は通う回数を減らしましたが、浮気を続けました」

 矢島さんは、共通の友人を介して、ついに夫に浮気をやめるように促した。不意を突かれたのか、夫は浮気をやめた。

「子供がいたから、離婚しないという選択を取りました。いなかったら、さっさと離婚していたでしょう」

 母親として子供を守り抜くために離婚しないことを選んだ矢島さん。だが、「女として夫を許していない」と、いまだしこりが残っている心境を吐露する。子供が独立した後、矢島さん夫婦はどのような選択をするのだろうか。

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