林:加藤さんにはきょう初めてお目にかかりますが、目の前にいる加藤さんは、「ギャングース」の加藤さんとはぜんぜん違う感じですね。

加藤:よく言われます。

林:入江(悠)監督のコメントを読んだら、「カズキ役は加藤君しかいないと思って、真っ先に決めた」とおっしゃってますね。

加藤:その話を聞いて僕もびっくりしました。今まで僕、実写化不可能みたいなものをやらせていただいてて、この映画も、漫画の原作には「サッカーボールになって転がる」みたいな漫画的表現があって(笑)、それで僕になったのかなと思います。

林:まだ原作の漫画を読んでないんですが、子どもの貧困を絵に描いたような3人の少年たちが主人公ですよね。虐待されたり親に見捨てられたりして社会の底辺にいる3人が、世の中への怒りをぶつけたり、自分たちの生い立ちをしゃべるシーンがあって、「君たち、そんなにひどい目にあってきたんだから、悪いこともちょっとぐらいやっていいよ」という気持ちになっちゃいましたよ。

加藤:最初に監督に「やっていることは犯罪だけど、そうせざるを得ない状況があってやってるんだから、決して悪者には映らないようにしてほしい」と言われたんです。

林:少年たちのボス(金子ノブアキ)が、部下に日本の貧困の現状をボードに書いて説明するシーンがありましたけど、とてもわかりやすかった。社会に対して怒りを持った子たちが、こんなふうにたきつけられて、どんどん生み出されていることがよくわかりました。7人に1人が貧困で、片親だと半数が貧困になってしまうのは残念です。

加藤:最初に台本を読んだときに、「こんなことが本当に起こってるのかな」みたいな感じだったんですけど、原作の漫画のストーリー担当の鈴木(大介)さんからお話を聞いて、実際にタタキ(窃盗、強盗)で生計を立てている子たちがいるんだということを知って。それでスイッチが入って撮影現場に臨んだ感じでした。カズキが少年院でいじめられたりとか、そういう生い立ちは自分にもちょっと似てるところがあったので、自分の経験を生かしながら演じました。

週刊朝日  2018年11月9日号より抜粋

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