愛ちゃん、お疲れ様(撮影/大塚淳史)
愛ちゃん、お疲れ様(撮影/大塚淳史)
次世代のエース平野美宇(撮影/大塚淳史)
次世代のエース平野美宇(撮影/大塚淳史)

“愛ちゃん”こと卓球の福原愛(29)が現役引退を発表した。2016年のリオデジャネイロ五輪以降、結婚、出産と、選手活動を休止した状態が続いていた。その間に、リオ五輪の女子団体で共にメダルを勝ち取った伊藤美誠(18)をはじめとした若手世代が国際舞台で活躍していったのも、引退を決意する一因となったようだ。

【写真】次世代のエースはこの人?

 10月23日に都内のホテルで行われた福原の引退会見では、

「選手として一区切りをつけようと思ったきっかけは、私が選手として盛り上げなくても、もう卓球界は大丈夫だと思えたことも大きかったです」

 と次の世代への期待感をにじませた。

 たしかにこの数年、日本卓球界は若手の有望株が続々と登場している。特に女子は、伊藤と同学年の平野美宇(18)、早田ひな(18)は、国際大会で優勝を経験し、「黄金世代」と言われるほど。

 卓球コラムニストの伊藤条太さんは、この世代の強さに驚きを隠せない。

「中国の選手に勝てる選手が1人いるだけでもすごいことですが、それが伊藤ら3人もいます。愛ちゃんですら中国のエース格にはほとんど負けてました。ところが、伊藤は世界選手権という大舞台の団体戦でエース格の相手を倒しています。平野も昨年のアジア選手権で中国のトップ3選手に勝って優勝しました。信じられない光景でした」

 この世代が誕生した背景には愛ちゃん効果があるという。伊藤さんが続ける。

「3歳児に卓球を練習させるのは無理だと思われていましたが、愛ちゃんが登場し、試合でも活躍したことで、伊藤も平野もその年齢のころから卓球に取り組んだそうです」

 このほか長崎美柚(16)、木原美悠(14)が控え、張本智和(15)の妹の美和も10歳ながら才能は兄以上とも言われている。

「(張本美和は)同世代では断トツです。小学生なのに小細工なしのパワフルなスタイルで、王道の卓球をする」(伊藤さん)

 福原も思い残すことなく引退できたわけだ。(本誌・大塚淳史)

週刊朝日  2018年11月9日号