日本シリーズ進出はソフトバンクと広島に決まった。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、クライマックスシリーズを振り返り、西武の菊池雄星投手に言及する。
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日本プロ野球も米国大リーグも、頂点を目指すポストシーズンが佳境を迎えている。勝ったり負けたりするのは、相手があることだから時の運……との見方はあるが、あらためて「エースとは」と考えさせられた。
巨人の菅野智之が10月14日のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの第2戦となったヤクルト戦で、ポストシーズンでは史上初となる完投でのノーヒットノーランを達成した。中5日での登板が続き、レギュラーシーズン最終戦の10月9日の阪神戦では、慣れない救援登板もこなした上で中4日。登板の負担が重なる中で、自分は何をすべきかが凝縮された一戦となった。
球数は113球。はっきり言って、力は肝心なところにしか入れていない。それは、日本シリーズまで中4日で回っていくことも想定した上だろう。その中での快挙達成。何段階も相手を上回ることのできる投手でなければできない。相手を知り、自分がどういった力配分をすればいいのか。自分を完全にコントロール下に置いた投球であった。
2013年に楽天を日本一に導いた田中将大(現ヤンキース)もそうだった。真のエースというものは、試合を支配しなければならない。その年の勝利数はもちろん、中身が問われるのがエースだ。そういった観点から見ると、西武のエース、菊池雄星はまだその域ではないと感じてしまう。
菊池はソフトバンクとのCSファイナルステージの第1戦(17日)に5回9安打6失点と打ち込まれた。内容が悪い。スライダー、カットボールが高めに浮いて打たれた。ソフトバンク戦は、入団以来ずっと勝っておらず、ようやく9月下旬に勝利した。これで精神的な問題は解消されたかと思った。左手中指にマメができた影響もあったかもしれないが、どんな状況でも任されたイニングを抑えていくのがエースの役目。物足りなさを感じた。