「今まで自分が知らなかった世界を見てみたい、これまでやってきたことを追求したいという二つの思いから、リタイアした4年前に入学しました。絵画部の展覧会では近江八幡の桜を描き、目立つところに展示してもらった。うれしかったですね」
そして最後は「書道部」。入学して「小学校卒業以来、初めて書道の稽古をした」という澤田勇さん(76歳)はこう話す。
「材木商をしていましたが、70歳で引退。町内会の友人3人で一緒に入学しました。何もせえへんのももったいないよ、と」
書道を学び、やればやるほど自分のものになる手応えを感じているという。
書道部を選んだのは、自分流だった書道を「基本から学びたい」と思ったから。学校のない日も、必ず毎日筆を握るという。
「この年になると、学ぶ機会が少ないので楽しい。やればやるほど自分のものになる手応えを感じています」(澤田さん)
ほかにも、シニアの学びの場は数多くある。定期的に通って、同年代の仲間を作りたい人は同校のようなシニア大学へ。現役の学生と机を並べ、若い頃の学びを再開したい人には一般大学や大学院の、入学しやすい「シニア枠」に出願する手もある。
また大学などが市民に公開しているさまざまな講座から、興味のある講座だけを選んで受講したり、通学不要のオンライン大学などで学ぶシニアも増えている。誰のなかにも眠る、ピュアな向学心を掘り起こしたい。
(文/福光 恵)
※週刊朝日ムック『60歳からはじめる 認知症予防の新習慣』から