「瀬戸の花嫁」「よこはま・たそがれ」など数々のヒット曲で知られる作曲家の平尾昌晃氏が79歳で亡くなったのは、昨年7月のこと。総額60億円ともいわれる遺産相続をめぐる紛争が、ここにきて表面化している。
「平尾さんは最初の妻との間に長男を、2番目の妻との間に次男と三男をもうけています。亡くなる4年前に、20年間にわたってマネジャーを務めたMさんと結婚をしていたのですが、息子たちには知らされていなかったのです。Mさんと前妻の子たちとの“骨肉バトル”の構図です」(芸能ジャーナリスト)
Mさんは50代で、昨年10月、平尾氏の残した二つの会社の代表取締役に就任した。これに対し、社長就任に不正があったとして、9月26日にあった臨時株主総会で兄弟3人が反発。Mさんは2社のうち著作権を管理する「エフビーアイプランニング」の代表取締役を解任され、代わって次男が就いた。
一方、マネジメント会社「平尾昌晃音楽事務所」は、発行済み株式の85%分の「株主が確定できない」との理由から、総会の議事に入れずMさんは代表取締役に留任。こちらは現在、三男で歌手の勇気氏(37)が、Mさんの職務執行停止を求める仮処分を東京地裁に申し立てている。
作曲家として活躍した平尾氏の遺産は大きい。著作権の印税は年間約1億円に上るとみられ、50年間は保護される。社屋ビルなどの資産も約10億円に上るとみられる。
JASRAC(日本音楽著作権協会)の相続同意書には、1人が相続する「単独用」と、複数人が相続する「共同用」がある。勇気氏は9月25日の会見で、Mさんから「単独用」の書類に承継者が空欄のまま押印させられたという。勇気氏は、「会社のお金が必要だから大至急押してほしいと言われた」として無効だと主張している。
勇気氏の所属事務所の社長がこう話す。
「Mさんから出された財産目録には、平尾先生の預貯金は百数十万円程度しかなかったのです。にもかかわらず、Mさん自身は多額の生前贈与をもらっていました」
前出の芸能ジャーナリストはこう話す。