たなかれいこ/1952年、神戸生まれ。CMスタイリストを経てNYに遊学。帰国後、ケータリングサービスなどを経て、東京・南青山で「612食ベ物教室」を主宰。自らの経験にもとづき「たべもので美しく健康に」を提案する料理家。(撮影/小原雄輝)
50歳という若さでの脳梗塞から、無事生還した磯野貴理子さん。その食生活のベースになっているというのが、料理家・たなかれいこさんの「腸からあたたまる」レシピだ。砂糖を使わず、数種の調味料だけでシンプルに味付けするその料理は、貴理子さんの第二の人生を支えている。
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この日、料理家のたなかれいこさんのスタジオを訪れたのは、タレントの磯野貴理子さん。2014年、50歳のときに突然、脳梗塞を発症し、1カ月半の入院とリハビリを経て、奇跡の復活を果たした。
テレビで見る貴理子さんは、発症前とまったく変わらぬ活躍を続けているが、その生活は、大きく変わったという。まず大好きだったお酒をやめて、規則正しい生活にシフトした。とくに食生活には気を使い、体にいい物をきちんと取るようになったそうだ。
そんな“新生”磯野貴理子の食生活の教科書となったのが、たなかれいこさんの料理本だった。旬の食材を、オイル、醤油、塩、味噌、酢だけで調理。腸内の有用菌を増やすとされる食材のパワーとおいしさを、存分に引き出しつつ、今や全身の健康の鍵を握るとして注目されている「腸」をあたためて元気にする調理法として知られている。
この日は『腸からあたたまるたなかれいこ的料理のきほん』(朝日新聞出版刊)にも紹介されているレシピを、たなかさんに調理してもらいながら、2人の対談がスタートした。
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磯野貴理子さん(以下、貴理子):今日は本当にうれしいです。れいこさんに、やっとお会いすることができました!
たなかれいこさん(以下、れいこ):私も、貴理子さんが私の料理を実践してくれていると聞いて、いつか貴理子さんをお招きして、“ひとり料理教室”を開きたいと思っていたんですよ。
貴理子:れいこさんの本に出会ったのは、退院してしばらく経ったころ。たまたま本屋さんで見かけて、パラパラとめくってみたら……病気を経験して健康を考えるようになった私が、ぼんやり感じていたことが、ぜーんぶ書いてあったんですよね。これだ!って。
れいこ:ご病気をされる以前は、どんな食生活を送っていらっしゃったんですか?