(3)バランスも大事、毎食必ず食べる

 タンパク質は、3食バランス良くとることも大切だ。筋肉の分解と合成は、運動時だけでなく、睡眠中も含めて一日を通して常に行われており、合成時のタンパク質不足は筋肉減少につながる。それを防ぐには、一日を通して、十分な量のタンパク質を補給することが必要だという。

「筋肉は一日の中で増減を繰り返しているので、筋肉を維持するためには、適切なタイミングでエネルギーを供給する必要があります。だから3食ともにタンパク質をしっかりとり、一定量のアミノ酸を維持することが、効率的な筋肉作りのポイント。3食のバランスが偏り、タンパク質の必要量に足りなくなると、高齢者はフレイルに陥る危険性もあります」(同)

(4)植物性だけでは足りない動物性×植物性が最適

 献立を考えるときには、動物性タンパク質と、植物性タンパク質とを組み合わせてとることを意識したい。基本的に、大豆製品に代表される植物性タンパク質は、動物性タンパク質に比べて、アミノ酸の含有量が半分以下。だから、筋肉を維持する観点で言えば、植物性だけではアミノ酸が足りないのだ。

 肉や魚などの動物性タンパク質は、アミノ酸の合成に不可欠なだけでなく、ミネラルやビタミンも豊富に含まれている。管理栄養士のキムアヤンさんは言う。

「動脈硬化や心筋梗塞、脳貧血など、血管系の病気が怖くて、肉や卵などの動物性タンパク質を控える高齢者も多いですが、食品のコレステロールによって血中コレステロールが上がることはありません。植物性タンパク質だけ食べていれば大丈夫というのは誤解。例えば、豆腐には肉を加えて肉豆腐にしたり、豆の煮込みにツナを加えたりと、動物性と植物性をミックスするよう心掛けて」

「糖質オフ」のはやりから、炭水化物を控える人も多いが、そばやうどん、スパゲティなどの麺類も、実はタンパク質量が多い。具材として、そばやうどんには肉をトッピングし、スパゲティにはシーフードミックスなどのタンパク質をプラスすると、一品で十分なタンパク質をとることができる。

「炭水化物ではタンパク質がとれないと誤解している人も多いですが、小麦やそば類には特に多く含まれているんです。ネギや大根おろしなどの薬味だけではなく、肉や魚介類の具材をプラスするよう心がけて」(キムさん)

(本誌・松岡かすみ)

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