じつのところ、膝に「抱っこ」ではないことは知っていた。だが、事前の調べでは、隣に並んで椅子に腰掛け、子パンダの肩を抱いて撮影できるはずだった。なのに、まさか、ビニール手袋を着けたまま、ふわふわの感触もない「タッチ」をしただけで終わりとは……。しかも子パンダの顔さえ見えない写真では、3万6000円を溝に捨てたも同然ではないか。

 放心したまま、大人のパンダ舎へ移動した。今度はボランティアに含まれる「餌やり」体験だ。「危ないから餌を渡したらすぐに手を引くこと」「パンダは」と、くどいほどに注意される。餌をあげる瞬間の、つぶらな瞳のかわいいこと! ニンジンと、穀物で作ったパンダケーキを食べ終わるまでは、その顔を眺めたり、写真を一緒に撮ったり、檻越しではあるものの、間近でパンダを堪能できた。ひとり2~3分だろうか。餌やりは午前と午後の2回体験でき、先ほどの子パンダ写真に対する不満が和らぐのを感じた。

 その後、35頭ほどいるパンダたちを、係員の説明を受けながら見てまわった。成年パンダは縄張り意識が強いそうで、それぞれ別々の部屋と庭が与えられている。1頭あたり10メートル×20メートルほどの広々とした庭で、ごろんごろんと転がったり、同じルートを歩きまわったり、笹をひたすら食べていたりと、思い思いに過ごすパンダたち。その姿を楽しみ、カメラを向けながら、係員から生態などについて説明を聞く。ちなみにパンダは、基地では30年ほど生きるという。野生ではもう少し短いそうだ。

 続いて幼年エリアへ向かうと、ちょうど食事が終わったらしい子パンダたちが転がるように飼育舎から出てきた。昨年生まれたのは19頭。なお、幼年とは1歳まで、人間でいうとだいたい3歳以下を指す。1歳を過ぎると、ミルクではなく笹を食べて消化できるようになるから「大人」なのだと教えられた。

 どうやらこれこそが、1歳未満の子パンダとは「タッチ」写真しか撮れない理由のようだ。1歳以上ならば、笹を与えておけばおとなしく椅子に座っているので、隣に座ってパンダの肩を抱いた写真を撮ることができるらしい。ただ、1歳を超えると見た目も大人と変わらないサイズになってくる。どちらがいいかは大変悩ましい。

 子パンダたちはとてもアクティブで、先を争うように木に登り始めた。見る間に、「パンダのなる木」が完成! 天辺付近で押し合いへし合いしている姿がキュートで、どれだけ見ていても飽きない。

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パンダを養子にできる!?その費用は…