そして、加計理事長の記者会見について問われて、安倍首相は“コメントする立場にない”と答えた。これもまた、理解に苦しむ答弁である。

 話は変わるが、安倍首相の“私や妻が森友学園の認可や土地売却に関わっていたら、首相も議員も辞める”との国会での発言を受けるかたちで、財務省は決裁文書を改ざんした。しかも、朝日新聞の報道がなければ、財務省は隠蔽するつもりだったのである。改ざんというのは、事実を隠し、ねじまげるということだ。

 しかも、なぜ改ざんをしたのか、と記者に問われて、最高責任者である麻生財務相は“それがわかれば苦労しない。わからないから答えようがない”と言い、“個人がやったことで、そういうことはよくある。財務省に責任はない”と平気で答えている。堂々と嘘をつき、最高責任者が、何の責任もとらないのである。

 財務省の元局長も、経産省の元首相秘書官も、平気で嘘をついている。まるで嘘をつくのが常識になってしまったようだ。

 それでいて、朝日新聞をはじめ、どの新聞社の世論調査でも、安倍内閣の支持率は、何と上昇している。少なからぬ国民が安倍内閣を是認しているのである。これは一体どういうことなのか。私は困惑している。

週刊朝日 2018年7月13日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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