加計学園理事長が先日行った記者会見について、ジャーナリストの田原総一朗氏が矛盾点を指摘する。
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重い責任のある人物たちが堂々と嘘を言い、それがまかり通っている。なぜ、日本はこんな国になってしまったのか。
たとえば、6月19日に加計学園の加計孝太郎理事長が記者会見を開いて、“2015年2月25日に、私と安倍首相が面会したというのは嘘で、愛媛県や今治市を騙したのだ”と堂々と言ってのけた。もちろん国民も騙されたわけだ。難航していた獣医学部新設の動きを進めるためにやったのだというのである。しかも、それは事務局長が勝手にやったことで、自分は知らなかったのだという。
しかし、19日の記者会見については、開くことも時間も、地元メディア以外は参加させないことも、すべて理事長が決めているのである。理事長が全権を握っているわけだ。
そんな学園で、安倍首相に会っていないのに会ったという大嘘をついて、国民を騙すということを事務局長が勝手にやる、なんてことがあり得るのか。
しかも、その大虚言を事務局長がいつ理事長に報告したのか。記者の質問に理事長は“覚えていない”と答えている。こんなことは、とても信じられない。記者たちは問うていないのだが、虚言の報告を受けて、理事長は何と反応したのか。よくやった、とほめたのか。それとも怒ったのか。怒ったのならば覚えているはずで、怒ったのではないのだろう。
そして、この大虚言を安倍首相にはどのように報告したのか。そのことを記者が問うと、なんと、“連絡していない”と答えた。これで私は、理事長の言うことが信用できない、というよりも嘘に嘘を重ねている、と思わざるを得なくなった。
加計理事長と安倍首相は、40年来の親友だということだ。それならば、安倍首相に迷惑がかかる嘘をついたということを、誰よりも早く安倍首相に報告すべきである。それをしなければ、安倍・加計の信頼関係は壊れてしまう。当然、安倍首相は怒るはずだ。だから、安倍首相に連絡していないと言ったことで、虚言そのものが嘘だ、と私は確信した。
嘘に嘘を平気で重ねているのである。