SNSで「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれるノンフィクション作家・山田清機の『週刊朝日』連載、『大センセイの大魂嘆(だいこんたん)!』。今回のテーマは「抗がん剤」。
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昭和ヒト桁生まれの親父が亡くなって、あっという間に二年がたった。大センセイ、親父の死については、書き残しておきたいことがたくさんある。
親父が体の不調を訴えたのは、二〇一三年のことであった。右の腕が腫れ上がって、痛くてたまらないという。以前から腰痛があって地元の整形外科にかかっていたのだが、かかりつけ医の診断は頸椎の変形から来る痛み、であった。
昭和ヒト桁は、我慢強い。しばらくの間は、湿布を貼ってしのいだ。しかし、一向に痛みが引く気配はなかった。ついに耐え切れなくなって救急病院に担ぎ込まれると、血液の状態が悪いということで、地元の総合病院に入院となった。
検査の結果ついた病名は「蜂窩織炎の疑い」。細菌に感染した可能性が高いというのである。頸椎とは何の関係もない。