アルバムの幕開けを飾るのは「格好いいな」。ピアノをメインに、ストリングスなどもフィーチャーした軽快な音。恋人との別れの不安な心情を描いた歌詞で、歌声にも哀愁が漂う。
「ハナガサイタ」はギター・ロック。降り出した雨にぬれるのが嫌だと、恋人の部屋で長居したままのカップルの話だが、まだ“君”との間には距離がある“僕”の満たされない気持ちを巧みに描いている。
ストリングスの調べが効果的で、かつて愛し合った恋人との思い出を歌ったのが「恋をしたのは」。伸びやかなaikoの歌声は、泣いたことがあったものの、楽しい思い出だったことを物語るようだ。
先行シングルとなった「ストロー」は、ミュージック・ビデオ(MV)で話題を集めた。“君にいいことがあるように 今日は赤いストローさしてあげる”と繰り返されるポップな曲だ。ジュースを飲むとき、いろいろなストローの中から赤いストローをおみくじのように引き当てたことに着想を得たという。“初めて手が触れたこの部屋”で、同居するカップルを描き、MVではパジャマ姿のaikoが“彼”と登場し、一緒に朝食をとるシーンが挿入されている。
続く「あなたは」では、会えなくなった“あなた”への思い、せつない心情を歌う。
いつもと違い、メロ先で作ったという「ドライブモード」。“晴れそうで雨降りそうな 深い愛と濁った恋”“笑ってるの怒ってる?”と、キュートに、奔放に歌うのが面白い。
ジャジーなピアノやエレピ、しゃれたドラムスなど、洗練されたソウル・テイストによる演奏をバックにした「愛は勝手」。aikoならではの独特のメロディーにコケティッシュな歌唱が絡む。コーダでのスキャットなど、大人の歌手としての魅力も発揮している。
「うん。」も注目曲の一つだ。これまでになかったヴォーカリストとしての魅力を発揮している。スロー・シャッフルの曲で、ポップな曲調からジャジーな演奏展開。本人は“ロングトーンをたっぷり使ったり、今までになかったフェイクを入れたり、自分の中の新しいことをやれた気がします”と語る。伸びやかな歌いぶりとともに、この曲のコーダでもスキャットをふんだんに聴かせる。