

時代とともに変わるルール。エンゼルスの大谷翔平が注目される今こそ、議論するべきメジャーのルールがあると、西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は提言する。
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エンゼルスの大谷翔平は開幕から投手として、打者として、全米を魅了してきた。その活躍は誰もが認めるところだし、チーム内でも愛されているのはテレビ画面を通じてもわかる。
だが、組織論という観点からすれば、戦前から予想された通り、二刀流の影響は少なからず出ている。中6日以上空けての先発となれば、先発投手の頭数が必要だし、野手としても、登板の前後の日は調整のために休養となり、代役の野手が必要になる。
日米でベンチ入り25人は変わらないが、日本の場合は28人の1軍メンバーから各試合25人がベンチ入りする形をとる。メジャーはその3人の余裕はない。さらに移動距離、連戦もある。メジャー移籍前から、その影響は議論されていたし、大谷も、チームもわかった上で現状のシステムを作り上げている。だが、6月6日(日本時間7日)のロイヤルズ戦のように、マメの影響で早い回で降板すれば、さらに他投手への負担は増大する。
これまでは投打に質の高い成績を残したからこそ、1人2役の二刀流の大谷に「1人以上」の価値を見いだしてきた。しかし、投打に調子を落とした時には、ベンチ枠に大きな影響を与えていることを痛感する。
大谷を批判するのではない。メジャーに携わる関係者にベンチ枠の拡大を議論してほしいということだ。数年前から、ベンチ枠の拡大について話し合われていると聞く。今回の全米のドラフト会議でも二刀流の選手が指名された。これまでも高校、大学まで投打で活躍しながら、メジャーで活躍するために、どちらかに専念した選手もいる。人件費の問題はあるだろうが二刀流の可能性を閉ざさないためにも、ぜひ、ベンチ枠を増やしてもらいたい。ファンも大谷の一挙手一投足に熱狂し、注目しているのだから、なおさらだ。