「大谷選手は疑問に思ったことがあればきちんと理解しようとする姿勢が強い。栄養に関しても同様で、食事に向き合う姿勢はあくまで『プレーに必要な身体の材料を入れる』という感覚。『わーい! ご飯だ!』という感じではないんです。だから気分に左右されず、どんなときでも、今の自分に必要なものを必要な分だけとる。結果を出す人には理由があるということです」

 大前さんは今年1月、大谷選手のメディカルチェックで来日したエンゼルスのゼネラルマネジャー(GM)やチーフトレーナーらと、都内で面会する機会があった。その際、GMらから「翔平のために、お茶やうどん、おにぎりも用意しようか?」などと聞かれ、球団の並々ならぬ期待を感じたという。だが、大谷選手にそれを伝えると、「望んで違う環境に飛び込んだのだから」と、特別待遇を丁重にお断りしたとか。大谷選手らしい謙虚さと人柄がうかがえるエピソードだ。

 大前さんは試合に目を通し、感想や必要な情報をタイミングよく送るが、文面はイエスかノーで答えられるように心がけている。

「返信するのに手間や時間が取られないように。返事の仕方が、状態を知る一つのバロメーターになっているかもしれません」

(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日 2018年5月25日号

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