自宅キッチンに立つ栗原心平さん。「洗い物がたまってもジャブジャブ洗える広いシンクがいい」と特注した。モノは多くても、調理スペースはしっかりと確保(撮影/写真部・岸本絢)
自宅キッチンに立つ栗原心平さん。「洗い物がたまってもジャブジャブ洗える広いシンクがいい」と特注した。モノは多くても、調理スペースはしっかりと確保(撮影/写真部・岸本絢)
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<三者三様、キッチンに込めた思い>

【プロの料理家のキッチンをフォトギャラリーで紹介】

「使い勝手、収納勝手、洗い勝手と、三つの“勝手”の良さにこだわりました」

 そう話す浜内千波さんも、CMプロデューサーの夫も、多忙な毎日を過ごす。それでも浜内さんは料理を作り、夫と食べる時間を大切にしている。そのため勝手の良さは必須だった。

「夫婦で外食することはほぼありません。だって家で作って食べたほうが楽しいですからね」
 
 栗原心平さんは、天井が高くて窓が多い家を気に入り、全面的にリノベーション。栗原さんの好きな素材は木と鉄。使い込むことで“育てて”いけるところが魅力という。本人が「収集癖があり、捨てられない」と笑うだけあってモノは多いが、きちんと整理されている。

 リビングルームと一体になったこの場所に、月数回は人を呼び、料理を囲んで語り合う。

「母(はるみさん)、姉( 友ともさん)、僕も料理家なのに、考え方は全く似ていません。でも、人を呼ぶのが好きなところは同じかも」

 藤野真紀子さんのキッチンはリビングルームと一体になった広々とした空間。右手奥にあるキッチンは舞台装置のように美しく、凜としている。

 見せる収納と隠す収納を意識しているためか、フライパンや鍋もオブジェのように見える。
「ここは私の部屋であり、仕事場なんです」と藤野さん。

 建売住宅のキッチンを全面リノベーションしてから約20年。「新品に入れ替えるのは簡単だけど、古いものに磨きをかけ、長く使いたい。手をかけたものはかけがえのないものですから」

 プロならではのこだわりを持ち、作ることや食べることの楽しさを大切にする。どのキッチンにもそんな思いが宿っていた。(吉川明子)

週刊朝日 2018年4月20日号