日本教科書と晋遊舎の所在地は同じだが、日本教科書は教科書の特長としてホームページで「寛容な心を育む教材」を掲げていた。

 日本教科書に取材を申し込むと、「文科省の記者クラブに属されていない方の取材はお断りさせて頂いています」と言うばかり。八木氏に取材を申し込むと次のように回答した。

「道徳教科書の発行事業は別の出版社が行っていたが財政上の理由で断念することになった。別の器で事業を続け、会社を設立した。17年4月に文科省検定申請し、その前後、現社長の武田氏と出会った。認可を得るにあたって『出版に関する相当の経験を有する』との要件を整えるために社長就任をお願いした。日本教科書と晋遊舎に資本関係はなく子会社でも関連会社でもない。『ヘイト本』という書籍は講談社や小学館など大手出版社も多数出している。その中で晋遊舎だけ批判されるのは、公平性を欠くと思います」

 道徳の教科化は、いじめの解消や思いやりの心をうたっている。だが、「そうした衣の下には、復古主義や国家主義の鎧が見える」(渡辺氏)。教員や子どもの問題に限らないだけに、道徳の教科化には社会的な警戒心が必要だろう。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日 2018年4月20日号より抜粋

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