3月27日、国会の証人喚問で「刑事訴追の恐れ」を連発して何度も証言を拒否した佐川宣寿前国税庁長官。ファッションデザイナーのドン小西氏がファッションチェックした。
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あたしなんて、この格好見ただけで、勝負が見えたもんな。この人、証人喚問で、絶対ボロは出さないだろうって。何せこの背広が物語ってるよ。不自然なくらいカチンコチンで、身を守るためのヨロイみたい。どんな質問も、ちぎっては投げ、ちぎっては投げで切り抜けた、この人にぴったりだよ。
そもそもが小柄だろ。うっかりすると、身を挺して組織を守るけなげな人に見えちゃうんだよね。でも、着ているものをよく見たら、同情は吹っ飛んだよ。スーツを見る限り、けなげどころか、相当のしたたか者だね。
イージーオーダーの背広だろうが、肩幅を微妙に広めにしたり、絞り込んだウエストとサイドベンツでX型のシルエットを作ったり、おまけにラペルの幅が異常に広かったり。政治家はずいぶんオシャレになったけど、官僚は今もポリエステルのワイシャツにくたびれたスーツのイメージ。その世界では妙に小細工が多いデザインだよ。ま、そんな強気な人が、見返りなしでこんな思いをさせられるとは考えにくいが……。いやいや、あくまでファッションの話ですけどね。
(構成/福光恵)
※週刊朝日 2018年4月13日号