西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、今オフは何度も元・巨人の村田修一選手について話を聞かれたという。
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昨年10月に巨人を自由契約になった村田修一が独立リーグ・ルートインBCリーグの栃木に入団することが3月5日に発表され、9日に入団会見があった。NPB球団からのオファーが3月になっても届かなかったのを不思議に思う方も多いだろうし、私もその一人である。
本人が「代打でも何でもいい。チームに貢献できれば」と口にしていたのを報道で見た。三塁の守備も一級品。打撃力もあり、本人も年俸にこだわりもない。37歳という年齢を割り引いても、使い勝手という点で、魅力に感じてもおかしくはないはずだ。
私にも、何で村田はどこも獲得に乗り出さないのですか?という質問が相次いだ。本来ならこの時期は、「どこかに楽しみな新戦力はいますか?」「○○という新人は使えますか?」と聞かれることが多いが、村田のことを聞かれることが多かった。
私が侍ジャパンの投手総合コーチを務めた2013年の第3回WBCでも、代表候補に入りながら故障のアクシデントもあって直前にメンバーから外れた。それでもチームの中で献身的に取り組んでくれ、野球に対する姿勢は素晴らしかった。チームにもいい影響を与える選手だと感じていただけに、不思議である。
理由をチームマネジメントからの観点で言えば、特に一塁、三塁というポジションは、外国人選手でも補充ができる。二遊間とは違い、守備力よりも打力が求められる。チームの主砲としての確固たる打力がなければ、いろんな選手の起用が可能なポジションともいえる。その点は、駒がいればいるほど助かる投手とは違う。若手を伸ばし、チーム力の底上げを図りたいと考えているチームは、ベテラン三塁手の獲得になおさら腰を引くことになる。
メジャーリーグは各選手の年俸高騰に伴う各球団の人件費削減、FA市場の停滞などが叫ばれてきた。イチローはようやくマリナーズと契約したし、上原浩治は巨人に復帰と報じられている。青木宣親はヤクルト復帰を決断した。事情や背景は違うが、今年はベテランの新天地での活躍、意地というものを見られるシーズンとなりそうだ。