オネエタレントのはるな愛さんは、都内で4軒の飲食店を経営するANGEL・LOVEの代表という顔を持つ。
「飲食を始めたきっかけは、親が商売をやっていたからなんです。はじめは大阪のショーパブで働いていたんですが、芸能界デビューするのを目標に上京したんです。売れるまでは食べていかないといけない、でもまたショーパブをやったら、大阪時代と比べて何も変わらないと思ったんです。それで最後のチャンスだと思って貯金を全て使って、2001年に三軒茶屋に自分のお店を出したんです」
居抜きの物件をそのまま使い、7人が入れば満席となる、アットホームなバーとしてオープンさせた。
「最初はママがいて、お酒を提供するようなお店をやりたかったんですよ。でも、いざやってみると誰もお店の扉を開けてくれなくて。お店に来てもらうにはどうしたらいいのかと考えた末に、自分にしかできないことをやろうと思ったんです。それがニューハーフとしてやっていくことでした。男や女になって踊って盛り上げたり」
ニューハーフという部分を逆に前面に出していくことで、お店を盛り上げていこうと決意したはるなさん。するとおもしろいほどに大好評となり、客が客を呼び、7人しか入れないお店は毎夜満席となるまでに繁盛していった。しかし、お店が軌道にのっていくなか、はるなさん自身の体調にある変化が表れる。
「声が出なくなってしまったんです。毎晩飲んで歌っていたので。それで、仕方なく筆談でお客さんと会話するようになって、物まねも口パクでやるようになったんです。それがきっかけで『エアあやや』が生まれたんですよ」
まさに今のはるなさんの原点となったのだ。
「お店での経験がタレント業にも生きているし、逆もある。両方とも手を抜けない大事な仕事です」
はるなさんは経営者として「サービス」と「店の雰囲気」を大事にするという。
「お店は山ほどあるなかで、自分のお店を選んで扉を開けてもらうためには、何が必要か。やはり、メニューの味もそうなんですが、空間とサービスに尽きると思うんです。話しかけるタイミングや話の聞き方、あとはお客さんの盛り上げ方とか。一つひとつのことを丁寧にやることがやはり経営者としても接客でも大事なことだと思うんです」