吹越満/(ふきこし・みつる)/1965年生まれ。青森県出身。映画「冷たい熱帯魚」、ドラマ「警視庁捜査一課9係」シリーズ、「精霊の守り人」、舞台「プルートゥPLUTO」、「全力坂」ナレーションなど幅広く活躍。定期的にソロパフォーマンス公演も開催(撮影/写真部・岸本絢)
吹越満/(ふきこし・みつる)/1965年生まれ。青森県出身。映画「冷たい熱帯魚」、ドラマ「警視庁捜査一課9係」シリーズ、「精霊の守り人」、舞台「プルートゥPLUTO」、「全力坂」ナレーションなど幅広く活躍。定期的にソロパフォーマンス公演も開催(撮影/写真部・岸本絢)
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「この世界で飯を食っていくためには、売れなきゃいけない。でも、売れてしまうと、俳優としては、実は仕事がしづらくなる。『この間は善人を演じていたのに、今度は悪役か』とか、『今回はこういう役作りか』とか、どうしても、前に演じた役と比較して見られてしまうからです」

 俳優にはある程度の“無名性”が必要だと吹越満さんは言う。知らない人が出ている作品のほうが、観客は、映画やドラマや舞台の世界に、先入観を持たずに入っていけるからだ。

「日本で最初に韓国映画ブームが起こったときも、日本人にとっての韓国人俳優の“無名性”が、少なからず影響していたと思います。『シュリ』だって、ソン・ガンホが韓国ではすごいスターだなんて知らずに、純粋に物語を面白いと思って、のめり込んで観ることができた。そういう意味では、今回僕が出演した映画は、たぶん、先入観をまったく持たずに観ていただける映画です。演技経験の少ない俳優を多くキャスティングしていて、僕も、ほとんどの共演者と初対面でした」

“ピンク四天王”と呼ばれるサトウトシキ監督がメガホンをとった「名前のない女たち うそつき女」は、中村淳彦さんのノンフィクション『名前のない女たち 貧困AV嬢の独白』の映画化。AV業界で生きる男女を描いた群像劇だ。

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