林:何ですか。

小林:「おまえ、こいつの仲人やってやってくれ。ほんとは俺がやらなきゃいけないんだけど、俺は片一方(女房)がいないからできないんだよ」って、それだけ。それはさておき、なんで俺を推薦してくれたのかなって考えますよね。それで思ったのは、健さんのお母さんのことなんです。あるとき、「おい稔侍、お袋もうダメらしいんだよ」って言うんです。「じゃ、行ってあげてくださいよ、九州に」「行かねえよ。俺、親父のときも行かなかったし、ひばりちゃんのときも行かなかったんだよ」。でも僕がいろいろ言ったら1週間ぐらいしてから、「おまえにだまされて九州に行ってきたよ」って言うんです。

林:まあ。

小林:そういう人なんです。「もう俺のことなんてわかんなかったよ」とか言って。その後お母さんが亡くなられたとき、健さんは「あ・うん」(89年)という映画をやっていたんです。監督(降旗康男)は「(葬儀に)行ってください」って言ったんだけど、行かないんですよ。それで僕はせめてどういう様子なのか見ておかなきゃと思って、九州に行ったんです。会場でいちばん後ろに座っていたら無理やり引っ張られて、健さんの席に座らされちゃった。しかも「挨拶してください」って言うんです。

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