現在76歳、役者人生56年目にして映画「星めぐりの町」で初主演した小林稔侍さん。作家・林真理子さんとの対談では、尊敬する高倉健さんの思い出について、たっぷり語ってくれました。
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林:私は詳しくは存じませんが、高倉健さんはあまり人を寄せ付けない方だったというじゃありませんか。でも小林さんだけは特別に、弟のようにかわいがられていたんですよね。
小林:徒党を組まない人でしたからね。僕はあの人に対しては、「あなたに何かあったら、僕は女房も子どもも置いてでも代わりになる。命をやろうと思ってる。だから僕のほうが貸しが大きいんだ」と仮定してものを言っていたんです。そうやってテンションを上げないと、普通にものを言うことなんてできませんから。そのせいか、晩年、周囲の人たちに「稔侍は俺に正直にいろいろなことを教えてくれる」って言ってたらしいです。
林:「稔侍」とおっしゃってたんですね。
小林:いちばん最初は「小林君」だったんです。早く「小林!」って呼び捨てにされたいなと思いましたよ。
林:「鉄道員(ぽっぽや)」のときのお二人、ほんとによかったですよ。今でもよく覚えてます。