
現代詩で異例のヒットを飛ばしている、詩人で小説家の最果タヒさん。独特の感性で紡ぎ出される文章は若い世代を中心に支持を集め、昨年は5冊の著書を刊行。詩集を原作とした映画化も実現した。最果さんの珠玉の言葉はどうやって生まれるのか。本人に直撃した。
「昨年は本当に怒涛(どとう)の一年でした。何でこんなことになっているのか、自分でもびっくりだし、周りもびっくりしています(笑)」
最新作は、百人一首を現代風に再構築した『千年後の百人一首』。半年間の制作期間は、「千年前の先人たち百人分の人生と向き合った、ものすごく濃い時間」(最果さん)だったという。
「それぞれ歌を詠む時に作者が感じた“衝動”がどこにあるのか、とことん向き合って私なりに解釈しました。当時は、歌の才能が人生を左右するほど大事なものだったからこそ、一つ一つの言葉に重みがある。それをいかに現代に訳すか、試行錯誤続きでした」
小さいころから文章を書くのが大好き。自分で絵本を作って遊んだりしていたこともあるという。言葉の持つ魅力にハマったのは、十代のころ。音楽バンド「はっぴいえんど」や、「ブランキー・ジェット・シティ」の歌詞に触れ、衝撃を受けた。