2016年に週刊朝日本誌で連載されていた「週朝歌壇」から生まれた、歌人であり、細胞学者でもある永田和宏先生と知花くららさんによる短歌の入門書『あなたと短歌』(朝日新聞出版)。その刊行を記念して、みなさんから「恋」の歌を公募し、1回限りの誌上復活。知花さんと永田先生が選んだ句は? その一部を紹介する。
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永田:「寒がりの彼氏に貸した湯たんぽも返してもらう恋のおわりは」。これはくららさん、どう思いますか。
知花:寒がりのあなたを温めようと思って私がいつも入れてあげてた湯たんぽ、返して。だって、私のもとを離れていくんでしょ、っていう歌かな?と。
永田:湯たんぽだけ貸してたんじゃないのか!
知花:それじゃあ、さらっとした歌になっちゃうじゃないですか!(笑)
永田:そうか、湯まで入れてやってたくらいの関係か。
知花:寒がりの男には入れてあげたくなるものなんですよ……たぶん(笑)。
永田:もう終わりにするんだから、貸したものは返してもらうわよ、ってことか。悲しみにうちくれるというじめじめした恋の終わりじゃなくて、さっぱりしてるよね。しかし、湯まで入れてやってたのか……。
知花:こだわりますね(笑)。