![社会保障給付費の推移(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/840mw/img_6314dc07b6c8b74e575af3a1df5186ea269322.jpg)
![年齢階級別1人当たり医療・介護費について(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/0/8/840mw/img_080364f201fcccfa267bb1ced1c4d6c8238504.jpg)
財政危機が起きる一つの節目として語られているのが、「2025年問題」だ。
この年、団塊の世代約800万人が全員75歳を超え、後期高齢者となる。国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上の超・超高齢社会に突入するのだ。
財政危機の原因は、ひとえに社会保障である。高齢化の進展に歩調を合わせて、年金・医療・介護の「社会保障給付費」が激増している。17年度の予算ベースでは、年金が56.7兆円、医療38.9兆円、介護を含む福祉その他24.8兆円で、給付費総額は120.4兆円だ。
これが25年には、約24%も増えて給付費総額は148.9兆円に達すると予測されている。年金は60.4兆円と微増だが、医療は54兆円、福祉その他も34.5兆円と、ともに4割増だ。
一方、「収入」はどうか。このところの景気拡大による税収増で、赤字国債の発行は当初予算ベースでは減っているが、それでも毎年、30兆円台半ばの赤字国債が新たに積み上がっている。国と地方を合わせた債務残高は18年3月末で1093兆円に達する。国内総生産(GDP)比では、ほぼ2倍の198%だ。もちろん先進国中最悪で、歴史を振り返ると太平洋戦争終戦直前の204%に近づいている。
小黒一正・法政大学教授が言う。
「社会保障給付費は、過去10年では年間約2.6兆円ずつ増え続けています。実に消費税1%分です。社会保障給付は、社会保険料収入と税金である国庫負担、そして本人負担で賄われています。給付費総額の急増で当然、国庫負担が増えていきます。団塊の世代は一度に後期高齢者になるわけではなく、高齢化は徐々に進みますから、20年度あたりから財政は相当きつくなります」
小黒教授によると、社会保険料収入はこのところ横ばいで、給付費総額の急増に対応できるかどうか懸念されている。加えて、団塊の世代が後期高齢者になると、医療・介護にかかる費用の激増が容易に予想できるという。