大相撲の元横綱・日馬富士関の暴行問題で、巡業部長としての責任などを問われている貴乃花親方(元横綱)に対する、理事「解任」の処分が28日、臨時理事会で決議された。貴乃花親方は2階級降格の「役員待遇委員」となり、理事会での議決権を失い、巡業部長職も解かれ、給料も減額されるという。
貴乃花親方は協会の危機管理委員会(高野利雄委員長)による聴取で、「間違ったことはしていない」と主張していた。
協会関係者によると、貴乃花親方が巡業部長でありながら秋巡業中の暴行の報告義務を怠り、危機管理委員会による調査協力の要請を何度も拒否したことが問題視されていた。貴乃花親方に近い年寄はこう話す。
「テレビで理事降格と流れた。とんでもないことだ。許しがたい。被害者が、加害者、伊勢ケ濱親方より重いなんて、協会執行部の暴挙だ。これおおごとなるよ。貴乃花親方サイドの人間は決起する。徹底して協会執行部と戦う。別の貴乃花親方サイドの親方も激怒している。業務停止だ、降格だとずっとマスコミが騒いでいた。貴乃花親方は『誰が被害者なのか』といい、向こう側(協会)寄りの報道が多いことを、『協会よりの情報を流すばかりじゃないか』『どちらが正しいのかわからないのか』と嘆いていた。被害者側である貴乃花親方に処分というのがおかしなこと。巡業部長としての行動が問題というが、自分の弟子が暴行にあい、怪我をしたので、法律に則って警察に訴えた。これ誰がみても正しい。だが、穏便にしてくれ、と示談を頼んできた伊勢ヶ浜親方、協会サイドにとってはとんでもない、反社会的行為となるんですから……」
一方、反貴乃花の親方はこう話す。
「横審だってあの貴乃花親方の対応はいけないとダメ出ししていた。その意向も処分にかなり影響したと思いますね。警察が先で、協会に報告しなくていいだなんて、そんなこと社会人としてあり得ない。相撲は親方、弟子、部屋、協会が基本。警察に訴える前にいくらでも協会が間に入って解決できたのに、次期理事選を見据えて、事件を使って優位に立とうしたのが、ミエミエ。貴乃花親方の言い分を書いた報告書だって、あとづけじゃないですか。世論からたたかれ、処分が検討され出すと、出してきた。初めから出せばいいのに。そして法廷闘争とマスコミを使って急に騒ぎ出した。なぜ協会の先に言わないのか?協会は惑わされませんよ。貴乃花は年明けの理事選には、出さないほうがいい。出れば、また揉め事が増えるって愚痴っている親方衆も多いです」
しかし、貴乃花親方は今回、処分されても、来年の初場所後の2月の理事選への出馬は可能だという。貴乃花親方は来年に向け、協会と徹底、抗戦する準備を着々と進めている。
「貴乃花親方が理事選に出馬すれば、当選は確実で、降格の影響は実質的にはそんなに大きくない。日馬富士とも示談は絶対にしないだろう。伊勢ヶ浜親方の監督責任を裁判で訴えることも検討しています。それくらいの覚悟でやっているんですよ、貴乃花親方は一門からはたぶん2人は理事を出しますよ。そうやって、今の執行部に対決していこうと考えている」
年明けの理事選が注目される。
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