「銀座にスパイダーマンがいる」
最近、こんな目撃情報がネット上で飛び交っている。どうやら、週末の銀座や表参道に出没し、子どもにプレゼントを渡し、「空を飛んで」と言われらたバク転を披露するなどパフォーマンスも凝っているらしい。一体、彼は何者なのか。名刺には「ジャパニーズ・スパイダーマン」の文字。本人に直撃インタビューした。
――いつからスパイダーマンになったのか?
2013年8月の週末、真夏の表参道でデビュー。駅で着替えて、表参道のルイ・ヴィトン前に躍り出たんです。街に出てみたら、行き交う人の反応がすごかった。ただ歩道脇で寝そべっているだけで、すごい数の人が寄ってくる。今までにない経験でした。
――スパイダーマンになったきっかけは?
友達の結婚式の余興がきっかけ。スパイダーマンになりきると、思った以上に大反響で「これはいける」と。せっかくなら、「町に出たい」と思ったんです。元来の目立ちたがり屋な性格もあって、もっと多くの人の反応を試してみたくなってしまった。
――それはつまり、「見られる」喜び?
それ以上に「見る」喜びにハマりました。僕、何が人の心を動かし、どうやったら行動に結びつけることができるのかを探ることに興味があって。だからマスクの内側から、何をしたら人が喜ぶか、どうやったら立ち止まらせることができるか、めちゃくちゃ観察していました。
――そろそろ正体を明かしてください。
平日はサラリーマンで、週末になるとスパイダーマンになるんです。平日は東証一部上場の大手IT企業で、コンサルタントチームのリーダーをしています。今年3月までは、慶應義塾大学大学院に通ってました。大学院では「消費者行動論」を専攻していたんですが、スパイダーマンのおかげでMBAを取得できました。
――というと?
街頭デビュー時から「Japanese Spider man」のアカウント名でインスタグラムをやっているんですが、SNS効果もあって、出没告知をすると結構な人数が集まってくれるようになった。試しに、目の前に集金ボックスを置いてパフォーマンスをしたら、2時間で7千円を超える金額が入った。驚くと同時に、正式にどこかに寄付をすることを掲げると、人の行動はどう変化するんだろうと思ったんです。