東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
日本シリーズ第2戦。七回裏ソフトバンク2死満塁、中村晃の右前適時打で三塁走者に続き、二塁走者今宮が逆転の生還。捕手戸柱(c)朝日新聞社
日本シリーズ第2戦。七回裏ソフトバンク2死満塁、中村晃の右前適時打で三塁走者に続き、二塁走者今宮が逆転の生還。捕手戸柱(c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、日本シリーズで行われた「映像検証」への感想を述べ、今後について日本球界に提言する。

【東尾氏が目を見張った場面の写真はこちら】

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 見ていたファンの方々も判定に異を唱えた方は少なかっただろう。まだ記憶に新しい10月29日の日本シリーズ第2戦。ソフトバンク今宮健太の本塁ヘッドスライディングは、当初のアウト判定からリプレー検証でセーフとなった。これが決勝点。翌日のスポーツ紙には今宮の「神の手」と称する見出しが躍った。

 だが、このプレーで私が目を見張ったのは、様々な角度からの映像だった。タイミングはアウトだったかもしれない。しかし、捕手の戸柱のミットがわずかに浮いていた下に、しっかり今宮の左手の指先が入っていたのがわかった。これだけ鮮明な映像で見せられたら、誰も文句は言えない。

 中継したのはフジテレビだったが、関係者に聞くと中継カメラに加えて100台もの小型カメラを球場全体に配置していたという。試合前にその映像テストを行っているシーンを見せてもらった。球場全体の一瞬を逃さない、その「カメラの目」の数々に驚いた。今宮のシーン、本塁のクロスプレーを見ていた「カメラの目」は50台あったという。経費もかさむと思うが、日本シリーズという最高峰の舞台で、ファンに納得の映像を出したテレビ局には感謝の思いしかない。

 私の現役時代といっても30年以上前だが、その時はセンターとバックネット裏の固定カメラが中心。ついにここまで来たのか……と思うと同時に、来年以降は大変だなと感じた。日本野球機構(NPB)は来季から大リーグで言う「チャレンジ」の日本版ともいえる「リクエスト」導入を決定したからだ。

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東尾修

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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