妻:それでお芝居へ?
夫:一度だけ、地元のアマチュア劇団の手伝いをしたことがあったんだよ。老人ホームへの慰問だったんだけど、終わってみたら、おじいちゃんおばあちゃんが涙流してる。芝居の力ってすごいなあと。
妻:それでよく、文学座受かったねえ。
夫:もちろん、学校からも親からも大反対されましたよ。僕の父親はね、流しをやっていたんです。アコーディオンひとつで雨の日も風の日も、一曲20円ぐらいの商売で僕を育ててくれた。だから芸事の厳しさを嫌というほど知っていたんでしょう。そんな思い付きで役者を目指すなんてって、それは怒ってましたね。
――ファンだったはずなのに第一印象はがっかり?
夫:彼女のことは、テレビでよく見てました。大ファンっていうわけでもなかったけど、初めて買ったレコードは榊原郁恵さんでした。
妻:何買ってくれたの?
夫:「ラブリー・ポップ」。
妻:うわあああ! 恥ずかしい!